ヒカルホタル

旅行やお出かけ、グルメ情報をお伝えするブログ

【ベトナム旅行・フーコック島】「ベトナム最後の秘境」と呼ばれたフーコック島に起きていること

旅行が好きで、海外のビーチリゾートもいくつか訪れていますが、昨年はタイやフィリピンの有名リゾートが環境汚染により閉鎖されたことがニュースとなりました。

今年の初めに旅行した「ベトナム最後の秘境」と呼ばれ近年注目を集めるフーコック島。

「手つかずの自然が残る」素敵なビーチリゾートと紹介されている島を実際に訪れてみると、タイやフィリピンのニュースを思い起こすような光景があちらこちらに見られました。

前回の記事では島で一番綺麗といわれるサオビーチでみた光景を紹介しました。

www.hikaruhotaru.com

今回は私が実際にみてきたフーコック島の様子を紹介したいと思います。

フーコック島の概要

フーコック島はベトナム南部、カンボジアとの国境そばのタイランド湾に浮かぶ島です。

周辺の小さな島を含め広さは約600平方キロメートル、人口約11万人(2018年3月時点)

島の2/3は森に覆われ、リゾート化が進む前は漁業が中心産業であった素朴な島でした。

そのため観光業が中心となったいまでも「ベトナム最後の秘境」として紹介されています。

フーコック島のリゾート化計画

サオビーチ

あるメディアの「世界のベストビーチ50」にフーコック島のビーチが紹介され、世界から注目が集まり始めます。

これを機にベトナム政府はフーコック島をタイのプーケットやインドネシアのバリに並ぶアジアを代表するビーチリゾートにすることを目標に掲げ、急ピッチでリゾート開発やメイン道路の建設などインフラの整備に乗り出しました。

ホントム・ネイチャーパーク・ケーブルカー

2018年に開業した世界最長のケーブルカー

2012年国際空港が開港。

2014年1月に大陸と島を結ぶ海底ケーブルが完成し、電気が安定的に供給されるようになりました。

同じく2014年に外国人の30日以内の滞在についてビザが免除されることとなり、フーコック島への観光客が一気に押しかけるようになります。

2017年に島を訪れた観光客は196万人(前年比+35%)、宿泊、飲食関連の売上は前年比+30%と島のリゾート化はどんどん進んでいます。

2020年には500万人、2030年までには700万人の観光客が訪れることを見通しているとの情報もあり、2019年はさらに開発のスピードを加速させるとのことです。

急速なリゾート開発

フーコック島に降り立ってまず驚いたのが、ビーチも内陸部もあちらこちらで工事が行われていることです。

サオビーチの大型ホテル完成予想図

このようなリゾートの完成予想図が描かれた看板をさまざまな場所で見かけました。

今回滞在したホテルも新しく、またその周辺も更なるリゾート開発の真っ最中。

どのくらい急ピッチで開発が進められているか、フーコック島に近年開業および開業予定の5つ星ホテルで部屋数が100以上のリゾートを少し調べてみました。

<2014年>

ヴィンパール リゾート&スパ フーコック(750室)

サリンダ リゾート フーコック(118室)

ザ シェルズ リゾート&スパ フーコック(134室)

<2015年>

ヴィンパール リゾート&ゴルフ フーコック(402室)

<2016年>

ノボテル・フーコック・リゾート (462室)

ソル ビーチハウスフーコック バイ メリアホテルインターナショナル(284室)

<2017年>

JWマリオット・フーコック・エメラルドベイ・リゾート&スパ(234室)

ヴィンオアシス フーコック(1,378室)

ヴィンパール ディスカバリー1~3 フーコック(計885室)

フュージョン リゾート フーコック(105室)

ナムギー フーコックアイランド(102室)

ティエンタン フーコック リゾート(180室)

<2018年>

インターコンチネンタル・フーコック・ロングビーチリゾート(459室)

ラディソン ブルー リゾート フーコック(514室)

プレミアビレッジ フーコックリゾート マネージドバイ アコーホテルズ(384室)

プレミアレジデンシズ エメラルドベイ マネージドバイ アコーホテルズ(745室)

<2019年以降オープン予定>

ベストウエスタン プレミア ソナシー フーコック(566室)

シェラトン・フーコック・リゾート

ラックス* フーコック

リージェント・フーコック

フーコック・ウォーターフロント など

ケムビーチのホテル

わずか数年の間に驚くほど多くのホテルが建設されています。

4つ星以下のホテルは5つ星ホテル以上の数が建てられていますので相当数のホテルが短期間に出現し、島が様変わりしていることが見て取れると思います。

ロングビーチのプールバー

つい数週間前にロングビーチにオープンしたばかりのプールバーのあるカフェを訪れてみました。

ロングビーチのプールバーとビール

マリーナや複数の宿泊施設のある複合リゾートのプールバーが先行オープンしている状態だったので目の前の景色は良いですが…

ロングビーチのリゾート開発

横を向くとそこは建設現場。

工事の音が響きます。

いまのフーコック島ではこのような光景があちらこちらで見られます。

フーコック島は「手つかずの自然が残る」「ベトナム最後の秘境」と紹介されていますが、実際に訪れてみたフーコック島にはそのような言葉を連想する景色はあまり残されていないように感じました。

ゴミ・環境汚染問題

前回の記事で紹介したサオビーチの南隣りにあるケムビーチ。

以前は軍の施設があったエリアですが、2017~2018年に2つの5つ星ホテルが開業し、現在は3つめのショッピングセンターを擁する巨大リゾートが建設中です。

ケムビーチのゴミ

ケムビーチのゴミと地元の漁師

5つ星ホテル前のビーチは綺麗に清掃されていますが、ビーチ北側に歩いていくと建設中のリゾート前はゴミだらけでした。

ケムビーチのホテル開発

リゾートの建設現場から流れ出る汚水。

ケムビーチへ垂れ流しの汚水

海へ垂れ流しの状態です。

このように、エコツーリズムやエコリゾートを謳う高級リゾート施設であっても環境に配慮する建設がなされていない現実があります。

また、2017年付のニュースサイトの記事によると観光客の激増により排出されるゴミの量が島のゴミ処理施設の能力を超えてしまっている状態で、フーコック島内にゴミの山ができているとのことです。

島の人々の生活

リゾート建設が進むなかで、ローカルの人々の生活を垣間見ることができました。

私が行動した範囲内になりますが、生鮮食品を扱うスーパーのようなお店は見かけませんでした。

フーコック島の商店

日用品を扱う小規模な商店はあります。

フーコック島の商店に並ぶ商品

洗剤やお菓子、飲み物やアイスクリームはこのような商店で購入できますが、野菜やお肉などは置かれていません。

フーコック島のローカルマーケット

生鮮食品は道端の露天商から購入しているようです。

夕方5時過ぎにケムビーチ近くにある商店やカフェを訪れたところ、ちょうどリゾート建設現場の作業員の帰宅ラッシュ時と重なりました。

帰宅ラッシュ時の作業員を相手に露天商がお店を広げています。

ローカルマーケットで売られる野菜

葉物野菜やトマトなどが並ぶ八百屋さん

ローカルマーケットの魚

その場で内臓を処理する魚屋さん

氷は無く常温なのがちょっと気になります。

多くの人がここで食料を調達し、家路につくようです。

ニワトリの足を掴んでバイクに跨る人も見かけました。

鶏肉を扱う露店もありますが、フーコック島ではニワトリがそのまま売られているお店や露店があります。

購入していく人々は自ら捌いて調理するのでしょう。

高級リゾートが次々と建設されていく島で、その建設に関わる地元の人々は思っていた以上に昔ながらの素朴な生活を送っているようでした。

f:id:hikaruhotaru:20190208111517j:image

このローカル商店が並ぶエリアでもゴミが溢れていました。

ここは島のリゾート化に伴い整備された幅の広い中央分離帯のある道路ですが、横断歩道がゴミ捨て場と化していました。

 

見直しが必要と判断されるアジアのビーチリゾート

世界各地で開発や観光客増加に伴い問題となるゴミや環境汚染。

フィリピンのドゥテルテ大統領は人気リゾート地のボラカイ島を「汚水溜め」に変わってしまったとして半年間にわたり島を閉鎖させました。

タイではレオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』の舞台となり一躍人気観光地となったピピ・レイ島が観光客増加による環境汚染悪化のため閉鎖されました。

同じくタイの人気リゾート地サムイ島ではゴミの量が処理場の限界を超えて林の中に巨大なゴミの山ができている事実が明るみになり大きく報道されました。

ベトナム政府が力を注いでいるフーコック島の一大リゾート化も、残念ながら日に日に環境汚染やゴミ問題が悪化の一途を辿っているように感じました。

さいごに

「ベトナム最後の秘境」と呼ばれるフーコック島ですが、それも今は昔。

リゾート化と観光客の急増によりゴミや環境汚染問題に直面している現実をみました。

SNSなどでフーコック島やビーチを検索すると素敵な写真が並んでいますが、このような問題があることもぜひ多くの方に知っていただけたらと思っています。